寝たきりにならないために、サルコペニアに要注意!

寝たきりにならないために、サルコペニアに要注意!

こんにちは、医師の西嶌暁生です。

人生100年時代と呼ばれる社会の中で、「笑顔で自分らしく、活き活きと自立して生きる」ために不可欠な「健康」。時間・労力・コストをかけることなく、在宅でも手軽に始められる「健康・美容増進のコツ」を毎週金曜日にお伝えします。

本日は、高齢期を健康に若々しく過ごすために知っておきたい「サルコペニア」をテーマにお話しさせていただきます。

サルコペニアとは?

何歳になっても、自分の足で軽やかに歩きたいですよね。今回のテーマ「サルコペニア」は健康寿命を保つためにとても重要な課題です。

年齢を重ねるにつれて自分のシルエットが老けて見えるようになった方はいませんか?それはサルコペニアの予兆かもしれません。

サルコペニア(sarcopenia)とは筋肉の分解・減少により筋力が低下した状態です。加齢により筋肉量が減少すると、体力が落ちて生活の質も下がり、見た目年齢も老けていきます。

加齢により筋肉量が減少すると、体力が落ちて生活の質も下がり、見た目年齢も老けていきます

サルコペニアの3大原因は、①加齢、②栄養不足、③運動不足です。

広背筋・腹筋・膝伸筋群・臀筋群などの抗重力筋において多く見られます。

例えば、膝伸筋や臀筋が衰えると歩行に障害をきたし、広背筋や腹筋の筋力が低下した場合は猫背になって老けて見えます。

筋力はどのように落ちていくのか

それでは、どのように筋力は落ちていくのでしょうか?

どのように筋力は落ちていくのか

例えば、下肢筋肉量は20歳頃をピークに減少し始め、60歳以降は年に約1%ずつ減少していきます。

50歳男性で約19kgあった下肢筋肉量は85歳以上では約13kgとなり、40年間で約32%減少すると言われています。

骨格筋は沢山の筋繊維の束からできています。筋繊維は再生と分解を繰り返しており、運動すると筋幹細胞が増殖し、筋繊維が再生されて増加します。

若い時はこのサイクルが効率的で活発ですが、歳を重ねるごとに再生効率が落ちて、分解のほうが勝り、筋肉が減少するのです。

歳を重ねるごとに再生効率が落ちて、分解のほうが勝り、筋肉が減少するのです。

サルコペニアを予防するための2つのポイント

それでは、サルコペニアを予防するには、どうしたらよいのでしょうか。

①高タンパク質の食事で予防する

老いは誰にでもやってきますが、栄養不足や運動不足は改善できる余地があります。筋肉にとっても皮膚にとっても大切なことは、良質なタンパク質を十分量摂取することです。

1日に必要とされるタンパク質は体重1kgあたり1gとされていますが、加齢と共にタンパク質合成の効率は落ちるため、筋肉量を増やしたい方は体重あたり1.5〜2.0gをお勧めします。

65kgの男性ならタンパク質97.5gが最低ラインとなります。

また、この時、同じ種類の肉ばかりを食べずに、牛肉、豚肉、鶏肉などの色々な種類や部位をバリエーション豊かに食べた方が摂取できる栄養素の幅が広がります。

また、きのこや魚介類などからビタミンDを一緒に摂ると、タンパク質の合成が促進されるため効率よく筋肉量を増やすことができます。

②無理のない運動で予防する

忙しい毎日の中で運動の時間を確保するということは、物理的にも精神的にも辛いことがあります。

特に帰宅してから改めてトレーニングジムに行くことはおっくうな気持ちになり、いきなり頑張りすぎると継続できません。

そこで最初に取り組む私のお勧めは、「通勤・仕事中・外出中は階段を使用する」、「帰りに一駅手前で降りて歩く」です。

通勤・仕事中・外出中は階段を使用する

実際、通勤や帰宅ラッシュの混在する時間帯などはエスカレーターを使うよりよっぽど早く移動することができます。

健康寿命は体力的に生活が自立して初めて成り立ちます。

サルコペニアとは健康の根幹を揺るがす大敵なので、健康な時から油断せずに、予防や未病に取り組みましょう。

投稿者プロフィール

西嶌 暁生
西嶌 暁生
医学博士、形成外科専門医。株式会社ZAI 代表取締役社長

2013年より筑波大学の形成外科で、創傷治癒、外傷、再建、美容外科及び美容皮膚科を専門とする臨床医として従事。その後、「恵比寿形成外科・美容クリニック」の副院長を経て、2023年7月に「恵比寿こもれびクリニック」を開院。肌細胞の再生をキーワードに、美と健康のパーソナルドクターとしてオーダーメイド医療を提供している。

【資格】:医師、医学博士、形成外科専門医、認定産業医、MBA、JDLA認定E資格
【専門】:形成外科、美容外科、きず跡修正、医療レーザー(シミ、シワ、たるみ)、目周りの手術、フェイスリフト、脂肪吸引、メンズ美容、医療AI

《著書》
だから夫は35歳で嫌われる メンズスキンケアのススメ 光文社
「無駄なケアをやめる」から始める美肌スキンケアの新常識大全 宝島社

《メディア》
夕刊フジ「50歳からでも遅くはない 誰でもできる男のアンチエイジング術」毎週月曜日に連載中
オレンジページ、美的、女性セブン、CanCam等
フジテレビ「ポップUP!」出演
bayfm「MOTIVE!」出演

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