美容も健康も、まずは“予防”が大切(5)症状によっては健康保険が適用になる美容外科治療
こんにちは、医師の西嶌暁生です。
人生100年時代と呼ばれる社会の中で、「笑顔で自分らしく、活き活きと自立して生きる」ために不可欠な「健康」。時間・労力・コストをかけることなく、在宅でも手軽に始められる「健康・美容増進のコツ」を毎週金曜日にお伝えします。
今回は、「症状によっては健康保険が適用になる」と題して医療クリニックならではの“優位性”ついてお伝えします。
医療クリニックならではの大きな優位性とは
医療クリニックならではの大きな優位性として「症状によっては健康保険が適用になる」ことが挙げられます。
日本では、国民はすべて公的医療保険(健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度)に加入しています。
保険が適用されると、自己負担額は「3割」(6歳以上〈義務教育就学後〉9歳以下の場合)となりますから、支払う金額は大きく変わってきます。
公的医療保険は、その対象を病気やケガ、出産、死亡に限定しており、美容目的では適用になりません。
形成外科治療でいえば、生まれつきの病気やヤケド、ケガなどの外傷、できもの(良性腫瘍・悪性腫瘍)などは保険適用です。
一方、シワやたるみ取りといった、外見を変化させることがおもな美容外科治療では、病気やケガではない=治療が必要な状態ではないとみなされるため、そのほとんどが保険適用外(自費診療)になります。
保険適用になる可能性ある症状とは
ただし場合によっては、整容性に関わる症状であっても保険適用になる可能性があるのです。
たとえば、まぶたのたるみ。単に「老けて見えるからたるみを取りたい」という場合は保険適用外ですが、眼瞼下垂が進行して視野がせまくなったり、肩こりや頭痛を引き起こして日常生活に大きな影響が出たりといった症状がある場合、保険適用になります。
この場合「眼瞼下垂」というれっきとした病名がつき、治療の必要があるとみなされるからです。
保険適用は「国が保険診療として認めた治療法であること」が条件ですから、たとえ医療機関なら眼瞼下垂と診断されうる症状でも、エステサロンでフェイスマッサージやストレッチなどを受けた場合では適用されません。
このように、目的は医療か美容かで違っても、実際の症状や治療範囲が重なる部分はけっこうあります。
本人は美容の範ちゅうと考えていた悩みが、医師が診断すると治療が必要な疾病であることは珍しくありません。医学的な治療が必要かどうか(=保険が適用になるか)は、高い次元からの診断が必要です。
一概に「美容目的だから絶対に自費診療になる」とはいえないということです。
ちなみに、よく患者さんが保険適用外と思い込んでいるけれど、実際には保険適用になる例をいくつかご紹介しましょう。
シミ
日光角化症、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症など
イボ
多発する神経線維腫のように、ベースに別の疾患が隠れていた場合など
顔のくすみ
太田母斑や扁平母斑、異所性蒙古斑といったアザが原因だった場合
外傷後のひきつれ
「幼少期にヤケドをしてしまい、皮膚がかたくて指が伸ばしにくい」といった症状は、皮膚の瘢痕拘縮(はんこうしゅく)と呼ばれ、時間がたっていても保険適用の対象となる
なお、クリニックには「レーザー治療だけ」「外科手術だけ」と得意分野に絞って施術するところもあります。
しかしレーザー治療と手術、両方を行っているクリニックのほうが、治療の選択肢は増えるわけですよね。
たとえばイボ取りにしても、7〜8㎜サイズまでならレーザーで、それ以上なら外科手術で除去したほうが、術後がきれいになる場合があります。
ですから、より治療の幅が広がるという意味では、両方の施術を提供できるクリニックを選ぶことをおすすめします。
投稿者プロフィール
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医学博士、形成外科専門医。株式会社ZAI 代表取締役社長
2013年より筑波大学の形成外科で、創傷治癒、外傷、再建、美容外科及び美容皮膚科を専門とする臨床医として従事。その後、「恵比寿形成外科・美容クリニック」の副院長を経て、2023年7月に「恵比寿こもれびクリニック」を開院。肌細胞の再生をキーワードに、美と健康のパーソナルドクターとしてオーダーメイド医療を提供している。
【資格】:医師、医学博士、形成外科専門医、認定産業医、MBA、JDLA認定E資格
【専門】:形成外科、美容外科、きず跡修正、医療レーザー(シミ、シワ、たるみ)、目周りの手術、フェイスリフト、脂肪吸引、メンズ美容、医療AI
《著書》
だから夫は35歳で嫌われる メンズスキンケアのススメ 光文社
「無駄なケアをやめる」から始める美肌スキンケアの新常識大全 宝島社
《メディア》
夕刊フジ「50歳からでも遅くはない 誰でもできる男のアンチエイジング術」毎週月曜日に連載中
オレンジページ、美的、女性セブン、CanCam等
フジテレビ「ポップUP!」出演
bayfm「MOTIVE!」出演
右目、埋没法、左目、切開法で、昔、二重整形したが、歳をとり両目眼瞼下垂になった、眼科で、手術できるか?
「手術はできます。これまでの手術による瘢痕などにより、通常の手術よりは少し難しいですが、特に問題ありません。眼科か、あるいは形成外科が専門となります。症状によっては保険適応となります。まずは、専門施設をご受診頂くのが良いと思います。」
恵比寿こもれびクリニック
西嶌暁生