美容も健康も、まずは“予防”が大切(2)〝逆算式美容〞で結果を出す

逆算式美容

こんにちは、医師の西嶌暁生です。

人生100年時代と呼ばれる社会の中で、「笑顔で自分らしく、活き活きと自立して生きる」ために不可欠な「健康」。時間・労力・コストをかけることなく、在宅でも手軽に始められる「健康・美容増進のコツ」を毎週金曜日にお伝えします。

「美容」と「健康」には、そのアプローチにおいて重なる部分もたくさんあります。

科学的根拠のある美容法は、健康という観点から見てもよい方向に作用するものがほとんどだからです。ですが、両者には違いもあります。私がはっきりと意識しているのは、その到達点=〝エンドポイント〞の差。

本日は、美容における「目的達成のための逆算式の考え方」をテーマにお伝えしたいと思います。

健康と美容の到達点の違い

「健康」について考えるとき、通常、エンドポイントは長い先に設定します。たとえば、一般的にがんの治療なら「抗がん剤を使用すれば5年生存率が〇%上がる」といった具合に、そのスパンは年単位、長期での話になります。

端的にいえば、健康のためにすることは「健康寿命をいかに伸ばすか」という目的に集約されるということです。

それに対して「美容」は、端的にいえば「見た目をいかによくするか」という目的のために行われます。

外見の問題ですから、わかりやすく、短い期間での変化が求められるわけですね。

〝逆算式美容〞という考え方

といって、やみくもに美容を始めるのは賢明とはいえません。
〝逆算式美容〞という考え方に基づき

「①いつまでに(期間)」
「②どう変化させる(目的)」

この2点をはっきりさせてから始めるべきです。

まず「②どう変化させる(目的)」は、現在、気になっている症状や悩みをどうしたいかという願望ですから、こちらを先に考えるのがわかりやすいでしょう。

悩み

「頬に浮いてきたシミをなくしたい」

「目の下のたるみが大きくなってきたので取りたい」

といったものです。

「〈悩み〉が〈どう変化することで解決になるか〉」を具体的にイメージしてください。

目的がはっきりしたら、次は「①いつまでに(期間)」を意識します。

もちろん症状によりけりではありますが、肌にまつわる悩みの場合、35歳を過ぎていたら「40日」(35歳以下であれば「28日」)を最初のマイルストーンにすることをおすすめします。

肌の細胞が生まれ変わる周期=ターンオーバーがそのくらいだからです。

このターンオーバーが1周期終わった時点で評価をするのが、肌にどんな変化が生じたかの認識をしやすいといえるでしょう。

目的達成のための期間の考え方

レーザー治療

臨床の現場からいえば、シミ取りのための「レーザー治療」などは比較的少ない回数の治療で効果がわかりやすく「30日」後にシミが変化していないということはまずありません。

また、開いた毛穴を引き締めたい場合は「3カ月」くらい。ほかに、インナーケアであれば「60日」続けると、大人ニキビが少なくなった、睡眠の質が上がった、髪の毛にコシが出た、といった体の変化を自覚できる患者さんが多いです。

どんな変化をもって〝効果があった〞と考えるかで、設定すべきマイルストーンは変わってきます。

もちろん、専門家でなければわからないことも多いでしょうから、その場合は、どんどん医師に尋ねてください。

きちんとした医師であれば、診察したうえで現在の状態や目的達成のための治療法、期間などについて、予想できる限り説明してくれるはずです。

逆に、効果を得られない場合の〝見切りどき〞については、一般的には「半年」後を目安にするとよいでしょう。

「半年間」同じ治療を続けてもなんらかのよい変化が見られない、もしくは悪化することがあれば、その治療法は合っていないと判断すべきです。

このように「目的」と「期間」を明確にしたうえで進める〝逆算式美容〞なら「なんとなく」始めたり「効いているのかな?」とダラダラとお金と時間を費やすのみになったりすることを避けられます。

仕事の進め方に置き換えてみれば、より理解しやすいはずです。

エンドポイントや完成形を意識することなく作業を始める人などいませんよね。

逆算式思考はビジネスや学習だけでなく、美容においても有効なのです。

投稿者プロフィール

西嶌 暁生
西嶌 暁生
医学博士、形成外科専門医。株式会社ZAI 代表取締役社長

2013年より筑波大学の形成外科で、創傷治癒、外傷、再建、美容外科及び美容皮膚科を専門とする臨床医として従事。その後、「恵比寿形成外科・美容クリニック」の副院長を経て、2023年7月に「恵比寿こもれびクリニック」を開院。肌細胞の再生をキーワードに、美と健康のパーソナルドクターとしてオーダーメイド医療を提供している。

【資格】:医師、医学博士、形成外科専門医、認定産業医、MBA、JDLA認定E資格
【専門】:形成外科、美容外科、きず跡修正、医療レーザー(シミ、シワ、たるみ)、目周りの手術、フェイスリフト、脂肪吸引、メンズ美容、医療AI

《著書》
だから夫は35歳で嫌われる メンズスキンケアのススメ 光文社
「無駄なケアをやめる」から始める美肌スキンケアの新常識大全 宝島社

《メディア》
夕刊フジ「50歳からでも遅くはない 誰でもできる男のアンチエイジング術」毎週月曜日に連載中
オレンジページ、美的、女性セブン、CanCam等
フジテレビ「ポップUP!」出演
bayfm「MOTIVE!」出演

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