医療関係で独立開業する方へ~今こそ必要とされるプロの経営者の育成~
こんにちは。 理事の山﨑志朗です。
「企業の社会貢献」とは、その言葉の通り、企業が実践する社会貢献のことを指しますが、実は、企業の存在意義そのものになり得るのです。
そもそも企業は「営利を目的とした経済活動を行う経済主体」ですが、ただお金儲けのために存在しているわけではありません。「日々果たすべき使命(ミッション)」や「実現したい未来(ビジョン)」などの志を持って立ち上げられてます。
本日は、在宅医療分野で独立・開業を考えられておられる方に向け、これから必要とされるプロの経営者の育成をテーマにお話ししたいと思います。
分配による社会貢献の重要性
初期の経済活動は、宗教がベースでした。得た食べ物や物品を分けることによって社会の経済が成り立っていました。
しかし、その交換する媒介が『お金』になることにより、分配する行為が2次的なものになっていきました。なぜなら食べ物は腐りますが、お金はストックが利くからです。こうして富の偏在が始まりました。
近年、ピケティ著の「21世紀の資本」がベストセラーになりました。この本は、幸福の見直しがテーマであり、家族の重要性が説かれ、富の再配分について考察されています。
もちろん、(多くの日本人が誤解しているような)お金を稼ぐこと事態が悪という単純な図式ではありません。
本書では、良識を持ち富をもった人間が社会の循環する仕組みを知り、分配による社会貢献を行う人間を育成することの重要性を訴えているのです。
ご興味をお持ちの方は、是非一度ご覧になってください。
在宅医療関係の事業の成功とは
次に、在宅医療の要である訪問看護ステーションを例に在宅医療関係での起業について考察していきたいと思います。
通常の起業の場合はプロセスは、事業領域の設定、ニーズの把握、価格の決定、事業計画の作成等が必須となりますが、訪問看護を始めとする在宅医療関係の制度ビジネスにおいては、国がルールメーカーであるため、多くをスキップすることが可能です。
しかし当初の計画通り物事が遂行することはほぼありません。むしろ小さな成功が大きな失敗の原因になったりする。スキップしたことによる弊害はいずれ顕在化します。
そもそも事前にしっかりと経営面を考察し、複数年の事業計画書が作られている事業所は、ほとんど存在しないと言っても過言ではありません。
よく「3ヶ月で黒字化を達成した」、「成功したので多店舗化した」等の話を聞きますが、訪問看護という事業は、チェーンオペレーションなどの多店舗化や大規模化は向きません。
つまり大規模化や店舗数などは、事業成功の指標にはならないのです。
訪問看護ステーションは地域在宅医療の要です。むしろ多職種連携、多角化等に進むべきであると思います。
プロの経営者として地域医療への貢献を考える
本来、企業間の競争は、どれだけ顧客を幸福にするかの競争です。勝ち負けはありません。
儲かれば良いという考えではプロの経営者は育ちません。もっと地域医療への貢献を考えてほしいと思います。
訪問看護は、高齢化社会の進展による高需要のもと企業独自のオリジナリティがなくても儲けられます。(従業員へのインセンティブなどを強化するなど)
残念なことに、訪問看護のコンサルタントは、『ベンツが買える』というのを売りにしているところすらあるのが実状です。
利益と地域社会への貢献の関係を起業前に今一度熟考してみてはいかがでしょうか。
投稿者プロフィール
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株式会社ナレッジエクスチェンジ代表
学習施設や児童福祉施設のコンサルティング&開業支援、有限投資組合の企画・運営、ラーニング・コンプレックス(複合専門学習施設)のプロデュース、優良学習ブランドの販売企画・販売代行、セミナー&スクールの企画・運営・海外事業などを幅広く手掛ける。
2017年から高齢者福祉事業に参入。現在千葉県茂原市にて「デイサービスサードプレイス茂原」「ハレ*訪問看護リハビリステーション」(2021年開業)を運営する。
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